コンペティション

KIPA 第2回デザインコンペティション2018 ツナグ+DESIGN 受賞作品

KIPA 第2回 デザインコンペティション 2018 ツナグ+DESIGN
「未来のコインランドリースペース」

 

現在の混沌とした世界情況の下で、人々の生活は、さらにボーダレス化し、 ICTの更なる発展、とりわけAIを中心とする技術の革新は、人間の生活や 未来の社会そのものを変えていくことが予測されます。 そのなかで、コインランドリーをテーマとした 明るい未来を創造してみてください。 その時代において、何かを繋ぐインターフェイスとしての インテリアデザインを考えてみてください。 条件規定として、大きさ・面積は自由、平面形状・高さの制約も設けません。 インテリアの自由な発想をご提案ください。 配置場所も自由に想定してください。 学校のキャンパス、過疎地の田舎、御堂筋沿線など。 できれば、具体的な場所を想定してみてください。 皆様の、自由な発想のすばらしいアイデアを期待しています。

 


 

 

最優秀賞

アスリートのための プライベート・コインランドリー
− wash・shower & makeup −
芦田 弘一朗

<京都美術工芸大学>

 

 

条件の自由度が高いデザインコンぺでは、その切口やシチュエーションの設定が極めて重要である。コインランドリーという機能・空間をどう膨らませるか?コミュニケーション空間、非日常性の獲得、あるいはストックの利活用といった付加価値付けを試みている応募各案の中で、本作品は唯一モビリティという概念を持ち込んだ。設定もウィメンズマラソンで、あったらいいなと思わせる提案。移動可能なカプセルにリアリティのある装備と楽しげなデザインを与えることで仮設からの脱却を果たした。様々なイベントへの展開はもとより災害の現場で活用されれば被災者も元気をもらえるだろう。コインランドリーという概念から近未来に向けた提案として秀逸である。

 

講評:審査委員 濵田 徹

 


 

 

優秀賞

洗塔
中村 舜介

<京都工芸繊維大学>

 

 

 

未来のエネルギーが変わる前提で、架空送電が終了した?鉄塔を廃墟とはせず、「纏」として地域のシンボルに蘇らせ、コミュニティーの場を立体的に散りばめるという提案です。悪役であった鉄塔に人々が寄り添い、そこには「暮らし」を繋ぐ新たなインターフェースとしてコインランドリーが存在しています。もう少し主役級の存在意義が欲しいものの、手描きによるドローイングは素晴らしく、守口・八雲地区のノスタルジーさえ感じさせられました。この提案を通じて現存する鉄塔が地球的スケールで繋がる風景と、そして最後に「洗塔」というネーミングが腑に落ち、思わず微笑んでしまいました。

 

講評:審査委員 小梶 吉隆

 


 

 

優秀賞

こどもランドリー

〜小学校における、新たな子ども教育〜

小谷 翔大・高村 萌々・池田 翔馬・金山 大地・斎藤 悦子・坂田 絵李奈

<京都建築大学校>

 

 

 

今回の課題である「未来のコインランドリースペース」の「未来」をどう捉えるのか?このプランは空間や形が未来的というのではなく、これから未来を担っていくこども達に、家事としての洗濯ができるようになるという教育的な狙い、そして、空き教室や学校の利用により地域との繋がりを求めることなどが含まれていて、近未来において仕組みとして実現可能なものである。ここでは重要文化財に指定されている貴重な学校内での展開を想定しているが、どのような地域の学校においても展開が可能であり、多くのこども達や地域が抱える根本的な課題を抽出した着眼点と、その対応策を現実的に提示していることが何よりも高評価である。

 

講評:審査委員 石津 勝

 


 

 

優秀賞

温故知新

技術が進み、人の流れが早くなるなかでも人との交流や地域性という
本来大切にしていたものを温め続けられるようなランドリー

伊藤 貴識

<京都工芸繊維大学>

 

 

 

夙川香櫨園駅前に設置されたこの施設は、単なるコインランドリーというより、地域住民の居場所としての地域交流施設にコインランドリーが組み込まれているというような形式となっている。コインランドリーの「待つ」という特質の室をより豊かな方向へと向けていこうとする姿勢には好感が持てた。立地の条件を踏まえた数少ない提案であったことも評価された。その一方で、デザインとしての斬新さや、「未来のコインランドリースペース」というテーマに対する提案の弱さも指摘された。

 

講評:審査委員 岩田 章吾

 


 

 

佳作

浄化する建築
井元 大樹

<岡山理科大学大学院>

 

 

 

浄化という言葉から感じるインパクト。閉鎖的でネガティブな要素を洗い流し、開放的なイメージに持ち込むと共に、住宅団地という立地からコミュニティの創出に狙いを定めつつ、コインランドリーの固定概念や住宅団地の普遍性を整理するとの考えが読み取れ、未来にツナグという視点において評価しました。ここでは付加価値として、フリーマーケットの要素を取り入れ、老若男女、地域コミュニティ活性化への起点となりうる可能性を見いだす事ができます。さらには、立地を熟考して外により開放する視点や、実際の運営に関わる検討、様々な要素をコインランドリーに組み合わせた展開の可能性の提示まであれば、より優れた提案になると感じました。

 

講評:審査委員 中村 俊郎

 


 

 

佳作

寄るところ
粟野 瑞基

<大阪工業大学大学院>

 

 

 

コインランドリーに何らかの機能を加えるという、極めて“まっとうな攻め方”がバランスよくデザインされた案である。靴を脱ぐことによるくつろぎ感に着目して、足湯とカフェの併設が提案されている。洗濯と乾燥にかかる40分という時間をどう過ごすのかという視点が、このプログラムにリアリティを感じさせた。しかしそのリアリティは、足と靴のケアという視点よりも、一日の中でその時間が持つ相対的な重要性を考えた時に確かなものとなるのではないだろうか。例えば、オフィス街にある空きテナント等に忍び込ませたリフレッシュ空間など・・・。仮設性を感じさせる木架構による美しいデザインも、その方がストーリーとのつながりが生まれるように思う。

 

講評:審査委員 角田 暁治

 


 

 

佳作

LAUNDRY'S MUSIC STORE in Hospital

病院のデイルームにあるコインランドリー×CD屋さん

濱川 はるか

<京都美術工芸大学>

 

 

 

病院の入院患者向けランドリーの現状に注目したところが、まず有意義な提案でした。患者自身でも、世話人でも、洗濯をする間の待ち時間を、ともに誰かと過ごせて、楽しい時間に置き換えていける、明るい場の提案に心ひかれました。小さなランドリーでは音楽が聴ける機能も面白いですが、ランドリーの予約や、終わる時間の表示などの提案もあればなお良かったと思います。

 

講評:審査委員 藤本 英子

 


 

 

佳作

中心からひろがる
杉山 仁子

<京都工芸繊維大学>

 

 

 

現在洗濯という行為は、ごくごくプライベートな“作業”と考えられているが、この提案はその概念をもう一度見直し、地域交流の中心的存在に位置付けている点ユニークで独創的である。“井戸端会議”等の言葉があるように江戸時代などでは、洗濯や行水などの日常の行為が各家庭内ではなく井戸を中心とした空間で行われ、コミュニティーの中心であった。核家族になり家庭に閉じこもりがちになった弊害を、今回提案のコインランドリーによっての井戸端空間を再現しようとするものである。ややユートピア的提案ではあるが納得できるのもといえる。一方で、ランドリースペース・テラス・休憩所・道といった空間のつながりがもう少し関係性を密にしたほうが良かったのではないだろうか。

 

講評:審査委員 川北 英

 


 

 

佳作

気配が感じられるコインランドリー ~空き家の行き方~
馮 植

<京都工芸繊維大学>

 

 

この作品は、急速にその数を減らしつつある「町屋」の保存も兼ねたリノベーション提案である。コインランドリーにおける洗濯という行為は、退屈でプライバシーが守られていないというのが現状である。そのオープンな無機的な空間に“畳”や暖簾を連想する“ファブリック”を利用して問題点の解決を図ろうとしている点が面白い。古い空間と最も現代的な機能の融合である。数を減らしつつある町屋の保存は、伝統的風景や文化の継承にとってその重要性が叫ばれて久しい。レストランやゲストハウスなど住宅機能以外へのコンバージョンなど様々な試みがなされている。今回の提案もその解決策の一つとして興味深い提案であった。一方で、“狭さ”や“和”の持っている本来の魅力からは少し物足りなさが感じられる。“狭さ”の持つ空間的寸法や明るさ、音響、仕上げ材料などなどもっと検討してはどうだろうか。

 

講評:審査委員 川北 英

 


 

 

佳作

カレッジランドリー
谷 美沙子

<京都工芸繊維大学>

 

 

 

大学キャンパスの一部にランドリーを設ける提案である。立地を考慮し、現在の学生とランドリーとのかかわり方からその可能性を発展させるような提案をしている点は評価できる。また、布をモチーフとしたインテリアデザインも、学生用のランドリースペースとして魅力的である。一方、その現状追認的な提案は「未来のコインランドリースペース」というテーマに対して提案として弱いという指摘もあった。

 

講評:審査委員 岩田 章吾

 


 

 

佳作

COIN-OPERATED WASHING PARK

~コインランドリーは公園になりましょう~

封 懿航

<京都市立芸術大学>

 

 

 

 

店舗としての“コインランドリー”は、その近隣住民にとっては便利かもしれないが誰でもが広く利用できるといった公共性に乏しい面がある。この提案は、ランドリーの機械を室内ではなく外部空間に設置し、路上に設置されている自動販売機のように、より目立ちやすく海外からの旅行者もいつでも利用できるように考えられた提案である。とりわけ、公園に設置する場合は旅行者と住民が触れ合うコミュニティーの場所となる可能性があるといった面白い発想を評価したい。一方で、洗濯物を抱えた人々が公園内をうろうろすることが公園の雰囲気を害さないか、洗濯機のデザインは今のままでいいのか、雨天時の対応は必要ないかなどなど単純に自動販売機化することは、新たな景観破壊につながりかねず検討を要するだろう。

 

講評:審査委員 川北 英

 


 

 

協賛企業賞

the Flow of Extraordinary
寺島 悠希

<金沢工業大学>

 

 

 

必要以上の繋がりを嫌う現代において、この提案はとてもいい距離感で人との繋がりを見いだせる空間だと感じました。季節や、そしてその場に居合わせた人の数や特性によって、毎回違う表情が空間にもたらされるところも魅力的です。話さなくても繋がれる、そんな装置が未来的でもあり、温かくもあり、この作品を考えられた方の優しさが伝わってきています。洗濯を待つという空虚になりがちな時間が、作品鑑賞できるギャラリーに身を置くような豊かな時間に生まれ変わる素敵な作品です。

 

講評:審査委員 立山 智佳子

 


 

 

協賛企業賞

C2 Coin Laundry Convenience

もっと便利、コインランドリー。

頼 涵農

<大阪芸術大学>

 

 

「コインランドリー」をコンテンツとし、利用者、地域、そして世界に向けて何ができるかを具現化可能なものとして提案されている点を高く評価しました。『洗う』を『繋ぐ』に進化させた発想は、ダイナミックで新しいコミュニティーを創り出すことを予感させます。素晴らしい作品です。

 

講評:審査委員 小川 千賀子

 


 

 

協賛企業賞

Original
橋本 佳穂

<愛知淑徳大学>

 

 

 

生活文化が成熟して、自分だけの何かを求めるニーズは確実に拡がっています。でも、オリジナルの洗濯石鹸をブレンド出来るという話は、まだ聞いたことがありません。香りだけではなく、衣類の種類や洗い方の使い分けまで対応できるとなると、それだけで新鮮な提案です。絵から受けるナチュラルな清潔感は、現状の洗濯石鹸容器のデザインへの批判も含みます。商店街の駐車場、車4台分の空きスペースを気軽にコインランドリーに活用する視点も、社会課題の解決提案になっています。

 

講評:審査委員 藤本 英子

 


 

 

応募点数:59点

登録学生数:70名

最終選考数:27点

入賞点数:14点

 

 

総評

KIPAデザインコンペティションは学生へのインテリアプランナーの認知度向上と、建築やインテリアデザインを志す学生からの提案により、世代と社会とをつなぐことを目的としてスタートしました。第2回は日常生活で見過ごされながらも、未来に向けて何かを繋ぐ可能性を探るスペースとして「未来のコインランドリースペース」をテーマとしました。課題は立地も規模も自由とし、いかに本質的な未来を捉えるかという命題を秘めることにしました。募作品の思いも寄らぬシチュエーションに驚かされる一方、社会的な課題を真剣に解決しようという能動的な提案もあり、様々な特徴を見ることができます。また固定された場所に設置するのではなく、ランドリーそのものが移動するという新しい概念も登場しました。さらに土地自体に詩情を感じさせられる作品、夢のある嗜好性に富む環境が提示された作品など、明快なコンセプトとプレゼンテーションの優れた作品に高い評価が集中しています。果たしてコインランドリーという業態が未来に続くのかという疑問はあるものの、「洗濯」という日常的な行為が、生活やコミュニケーションの質を変えることができるということに大いに気づかされました。また情報社会に相応しくこのコンペティションには全国から応募が寄せられたこと、また海外からの留学生の作品に力作が多く高い評価を得たことなど、これら全ての世相を反映した応募作品によるコンペティション、展示会がこのように開催できたことに大いに喜びを感じています。

 

一般社団法人 関西インテリアプランナー協会 会長 小梶 吉隆

 


 

<審査委員>

 

審査委員長

・小梶 吉隆 (一般社団法人 関西インテリアプランナー協会 会長)

 

審査委員

・石津 勝 (大阪芸術大学 准教授)

・岩田 章吾 (武庫川女子大学 教授)

・岡本 清文 (近畿大学 教授)

・小川 千賀子 (株式会社デザインクラブ 代表)

・角田 暁治 (京都工芸繊維大学 准教授)

・川北 英 (京都美術工芸大学 教授)

・立山 智佳子 (高島屋スペースクリエイツ株式会社 デザインチームリーダー)

・中村 俊郎 (イチマルヨンロク デザイン 代表)

・濵田 徹 (株式会社イリア 関西事務所 所長)

・藤本 英子 (京都市立芸術大学 教授)

 

学生デザインコンペティション部会

実行委員長:須摩淵 真範

メンバー:東 奈生子、神谷 剛、伍賀 達哉、杉村 修一
宮本 聡子

Award Book:1046 design

 

協賛企業

株式会社 デザインクラブ http://www.designclub.co.jp

高島屋スペースクリエイツ 株式会社 http://www.ts-create.jp

グラフィソフトジャパン 株式会社 http://www.graphisoft.co.jp

ルイスポールセンジャパン 株式会社 https://www.louispoulsen.com/ja-jp/

株式会社 岡村製作所 http://www.okamura.co.jp

有限会社 画箋堂 http://www.gwasendo.com

TOTO 株式会社 http://www.toto.co.jp

スリーエムジャパン 株式会社 http://www.mmm.co.jp

株式会社 YAMAGIWA http://www.yamagiwa.co.jp

有限会社 ハブ硝子 http://glasmond.jp

関ヶ原石材 株式会社 http://www.sekistone.com

大光電機 株式会社 http://www.lighting-daiko.co.jp

ドリームベッド 株式会社 https://dreambed.jp

株式会社 カッシーナ・イクスシー http://www.cassina-ixc.jp

アイカ工業 株式会社 http://www.aica.co.jp

株式会社 サンゲツ https://www.sangetsu.co.jp

株式会社 オリバー http://www.oliverinc.co.jp

コクヨ 株式会社 https://www.kokuyo.co.jp

ルノン 株式会社 https://ssl.runon.co.jp

株式会社 ユニオン https://www.artunion.co.jp

東リ 株式会社 https://www.toli.co.jp

株式会社 インターオフィス https://www.interoffice.co.jp

タキロンマテックス 株式会社 https://www.t-matex.co.jp

株式会社 天童木工 http://www.tendo-mokko.co.jp

美和ロック 株式会社 https://www.miwa-lock.co.jp

パナソニック 株式会社 https://panasonic.jp

株式会社 川島織物セルコン https://www.kawashimaselkon.co.jp

 

主催

一般社団法人 関西インテリアプランナー協会

〒541-0052 大阪市中央区安土町1-7-13 トヤマビル本館 9F

TEL:06-6266-5735 FAX:06-6266-5745

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