コンペティション

KIPA 第1回デザインコンペティション2017 ツナグ+DESIGN 受賞作品

KIPA 第1回 デザインコンペティション 2017 ツナグ+DESIGN
「ガラスのインフォメーションセンター」

 

人々の国境を越える流動も、非常に大量かつ頻繁に起こっています。 島国の日本に於いても、世界の人々が、これからも多く日本を訪れることが予測されます。 2016年度には、インバウンド旅行客として、2400万超の人々が、日本を訪れました。 そこで、今年のテーマは、様々な海外から日本に訪れた方々への、 「ガラスのインフォメーションセンター」のインテリアデザイン案を公募いたします。 世界と日本を繋ぐインターフェイスとしてのインテリアデザインです。 大きさは、5M×5M×5Mの透明ガラスのキューブを想定し、 そのインテリアの自由な発想をご提案ください。 配置場所も自由に想定してください。 駅舎の中、公園の入り口、神社の境内などなど、できれば、具体的な場所を想定願います。 キューブ内の機能指定は、トイレとカウンター(窓口)のみです。 皆さんの、自由な発想のすばらしいアイデアを期待しています。

 


 

 

最優秀賞

Glass Information Center As Street Furniture
馬場 隆介

<千葉大学大学院>

 

 

今回のコンペは、情報発信機能とガラス空間の魅力創生が求められたものです。当作品の設定は、“Shibuya-Cross”として海外でも有名なポイントです。一方で、単なる交差点としての通過点を“溜まる”装置として、テンポラリーに設置したところに独創性が感じられました。また、一方通行の情報ではなく、ガラスに映りこむ風景や複層する景色の中に自身が情報の発信者になるというインタラクティブな関係性を提案しています。ガラスの特徴である、透過性・反射性あるいは危うさなどその性質を巧みにとらえているところが高い評価につながりました。

 

講評:審査委員 川北 英

 


 

 

優秀賞

THE AIR CUBE
三島 有惟

<京都建築大学校>

 

 

 

水の中でのガラスケース。まず水中での提案に、審査員は驚かされました。そして、すぐに水中で美しくガラスケースが浮かぶ姿が思い描かれました。水中での結婚式映像を見たことがありますが、ダイバーならではの遊びや、情報交換、また、緊急時のサポート空間としても活躍することでしょう。全体の絵の表現も、水中イメージを上手に伝えているところも評価 しました。

 

講評:審査委員 藤本 英子

 


 

 

優秀賞

狭境の竹林浴
坂口 佳

<京都工芸繊維大学大学院>

 

 

 

近年デザインの役割が企画自体を考え、新しい需要を築く力として期待されている中で、当作品は〈竹林浴〉という新たな観光資源を発案し、その為の施設として提案を行っていることを高く評価しました。深い竹林の中に設置されたガラスキューブは、周辺環境との対比と調和を成し、屋上空間も高さを活かしたアイデアです。レイヤー状に細く分節された内部は、狭さの中にも視線のシークエンスや、デザインの密度が丁寧に創出されています。分かり易くかつ魅力的なビジュアルも高く評価しました。

 

講評:審査委員 岡本 清文

 


 

 

優秀賞

ほろ酔いボックス
忽那 映里

<京都建築大学校>

 

 

 

「どこの場所を選び、何と何をつなぐのか?」、酒処である灘の地で日本酒と来訪者をつなぎ、また人と人とをつなぐという考えが明快でした。外観については、酒造りをイメージさせる酒樽を象徴的なモチーフとして扱うと共に、使用条件であるガラスを灘の酒を紹介するショーウインドとして成立させています。ただ紹介や案内を行うだけではなく、味覚をも満足させて人と人の交流につなげている点も高評価です。

 

講評:審査委員 石津 勝

 


 

 

佳作

Airmail Information
梨谷 桐子

<近畿大学>

 

 

 

どこでも自由に情報が取り出せる時代に、あえて手紙に託された情報に着目した点や、出国する人から入国する人への紙飛行機の手紙というセンスの良さが評価されました。ただ既存の案内表示の改造とすることで、詩情あるコンセプトが薄まってしまったのが残念でもあります。コンセプトを強化するオリジナルのデザインがほしかったという気がしました。

 

講評:審査委員 岩田 章吾

 


 

 

佳作

ガラス玉のインフォメーションセンター
中家 悠、佐々木 都

<武庫川女子大学>

 

 

 

ガラス玉と木製ルーバーを積層して組み合わせ、外皮を構成することで、外と内を巧みにつなぎ、ガラス玉に映り込む景色の視覚効果と六甲の爽やかな風や鳥の声を居ながらにして感じられるアーティスティックな空間を提案しています。ただ、5Mキューブという条件から逸脱して表現された突出部の造形については検討の余地があるように感じました。

 

講評:審査委員 濵田 徹

 


 

 

佳作

4畳台目の案内所
日野 慧

<京都建築大学校>

 

 

 

イメージを直接的に提案する率直さ・大胆さを評価しました。四畳半が意図する真相を聞きたいところですが、極限の空間を立体的に解き日本的な空間美に昇華しようとする試みに可能性を感じました。畳の象徴性とカウンターの実利性がどのような意匠に融合されていくか、できれば実施したい思いに駆られました。

 

講評:審査委員 小梶 吉隆

 


 

 

佳作

有無 −ないようであるもの−
福山 未菜子、田窪 恵理奈、石川 采菜、千田 梨穂、高橋 杏奈

<滋賀県立大学>

 

 

 

5mキューブのインテリアを、ガラスの特性を活かし自由曲面で造形、その透過性や光に絡め、絹のストリングで生み出すきで可視化を図り ーないようであるものー を具現化する着眼点が評価できます。本来インフォメーションセンターはその存在の周知が必須ですが、この新奇かつ目を奪われるインパクトが、おのずと人々を惹きつけ、世界をツナグのかもしれません。

 

講評:審査委員 中村 俊郎

 


 

 

佳作

9 Windows
近藤 佑哉

<京都工芸繊維大学大学院>


高見 将大

<関西学院大学大学院>

 

 

 

インフォメーションに必要な『機能』と、それを活用する人間の『初動』と、高い場所から鳥の目で確認したくなる『視認』とを、デジタルとアナログを混在させたリアル感をもって見事に9枚のガラスでデザインしきったことを高く評価しました。

 

講評:審査委員 小川 千賀子

 


 

 

佳作

「オリヅル」
八代 茉子

<近畿大学>

 

 

 

いつも人があふれる原爆ドーム周辺に、景観に大きな影響を及ぼすことがない、ガラスのインフォメーションセンターの提案は、場にふさわしいと思います。駅との関係や、ドームへの視線など、場の状況をよく読み取った提案です。隣接するオリヅルタワーとの関係性をつくれば、そのインフォメーションにもなるでしょう。

 

講評:審査委員 藤本 英子

 


 

 

協賛企業賞

Sn S
小川 航輝

<芝浦工業大学大学院>

 

 

ガラスのインフォメーションという極めて無機質な素材と機能的な施設の課題に対して、この作品は冷たさを備えた金属を用いながら、タタキの手法と曲線加工という金属特性を利用し人の手の温もりを感じる作品です。インフォメーションが持つべき親しみと安心感を上手く演出していると感じました。ガラスより錫が主役になってしまっているところが惜しい感じもしますが、ガラス越しに見せることで金属の柔らかさが引き立っていると思います。

 

講評:審査委員 立山 智佳子

 


 

 

協賛企業賞

ガラスの濃度
西岡 広登

<大阪工業大学大学院>

 

 

 

吊り下げられた無数のグラスファイバーの粗密によって、空間が緩やかに区切られており、束ねることで、空間を作ることも可能となっています。アイデア自体は既視感があるものの、空間経験としての面白さが評価されました。もう一歩踏み込んでインフォーメーションセンターというプログラムにまっすぐ向き合って欲しかった気がします。

 

講評:審査委員 岩田 章吾

 


 

 

協賛企業賞

125㎥の走馬灯
福田 絢華

<武庫川女子大学>

 

 

 

心の琴線に触れるインフォメーションです。ガラスの壁でわけられてしまう空港。共に時を重ね合わせた人にしかわからない情動を通わせる静かなインフォメーション。心にぐっときました。実現化が期待される作品です。設計要件が行き届かないまでも、ストレートな表現が冴えている点を高く評価しました。

 

講評:審査委員 小川

 


 

 

応募点数:68点

登録学生数:90名

入賞点数:13点

 

 

総評

KIPAデザインコンペティションは学生へのインテリアプランナーの認知度向上と、建築やインテリアデザインを志す学生からの提案により、世代と社会とをつなぐことを目的としてスタートしました。テーマはインバウンド観光客が溢れる世相を反映し、情報との関係性やそのための空間を提案するという、機能と魅力が問われるものとしました。立地は自由ですが、その場所性が提案にどう活かされるかという命題が秘められます。思いも寄らぬシチュエーションに驚かされる一方、イメージを喚起しやすい象徴的な地域からそれを解くという特徴も見られました。

いずれも「場」から得た特性が明快で、プレゼンテーションの優れた作品が高い評価を得ています。さらに個人的詩情を反映した装置的な提案など、規定の範囲を超えてでも日常に新鮮な眼差しを向けている若い感性にも評価を加えました。これらからインフォメーションが日々進化を続ける一方、いつの時代も変わらぬ感情という視線が向けられるということに改めて気づかされました。いずれにしても全国からの予想を超えた力作が集積し、全ての応募作品の展示会を開催できたことに大いに喜びを感じています。

 

一般社団法人 関西インテリアプランナー協会 会長 小梶 吉隆

 


 

<審査委員>

 

審査委員長

・小梶 吉隆 (一般社団法人 関西インテリアプランナー協会 会長)

 

審査委員

・石津 勝 (大阪芸術大学 准教授)

・岩田 章吾 (武庫川女子大学 教授)

・岡本 清文 (近畿大学 教授)

・小川 千賀子 (株式会社デザインクラブ 代表)

・角田 暁治 (京都工芸繊維大学 准教授)

・川北 英 (京都美術工芸大学 教授)

・立山 智佳子 (高島屋スペースクリエイツ株式会社 デザインチームリーダー)

・中村 俊郎 (イチマルヨンロク デザイン 代表)

・濵田 徹 (株式会社イリア 関西事務所 所長)

・藤本 英子 (京都市立芸術大学 教授)

 

学生デザインコンペティション部会

実行委員長:須摩淵 真範

メンバー:東 奈生子、神谷 剛、伍賀 達哉、杉村 修一

Award Book:1046 design

 

協賛企業

株式会社 デザインクラブ http://www.designclub.co.jp

高島屋スペースクリエイツ 株式会社 http://www.ts-create.jp

グラフィソフトジャパン 株式会社 http://www.graphisoft.co.jp

ルイスポールセンジャパン 株式会社 http://www.louispoulsen.com/jp

株式会社 岡村製作所 http://www.okamura.co.jp

有限会社 画箋堂 http://www.gwasendo.com

TOTO 株式会社 http://www.toto.co.jp

スリーエムジャパン 株式会社 http://www.mmm.co.jp

株式会社 YAMAGIWA http://www.yamagiwa.co.jp

有限会社 ハブ硝子 http://glasmond.jp

関ヶ原石材 株式会社 http://www.sekistone.com

大光電機 株式会社 http://www.lighting-daiko.co.jp

ドリームベッド 株式会社 https://dreambed.jp

株式会社 渋谷 http://www.shibutani-group.co.jp

株式会社 カッシーナ・イクスシー http://www.cassina-ixc.jp

アイカ工業 株式会社 http://www.aica.co.jp

株式会社 サンゲツ https://www.sangetsu.co.jp

株式会社 オリバー http://www.oliverinc.co.jp

 

主催

一般社団法人 関西インテリアプランナー協会

〒541-0052 大阪市中央区安土町1-7-13 トヤマビル本館 9F

TEL:06-6266-5735 FAX:06-6266-5745

ページトップへ