コラム

Vol.1 バイヤス


デザイナーやアーティストにとって経済の話は縁遠い話のように見えるが、それは素人、部外者から見た誤解である。いつの時代もモノづくりに携わっている者にとっては死活問題のはずが、そんなそぶり見せないようにしているにすぎない。(武士は喰わねど高楊枝。) デザイナーやアーティストも現代をより「豊かに」、「快適に」、「気分よく」生き抜いていくためには、現代に有効な経済知識、理論、原理、原則を身に着けていく必要がある。今回から順次、重要と思われる概念、経済理論について一言。それらは昔の人がすでに「ことわざ」で言っていることでもある。 現代の最先端経済学には総称して行動経済学と呼んでいる分野があるが、20世紀の中頃から、学際研究という手法が始まり、心理学と経済学を結び付けた研究分野で、そこで「バイヤス」という概念が注目された。「バイヤス」を日本語では「偏見・偏向」と訳されているが、むしろ「錯覚」、「誤解」、「妄信」と訳したほうがぴったりだと思う。人は自分が「正しく・まとも」で、他人の方が「間違ってい居る・おかしい」と思う傾向にあり、これを「自己奉仕バイヤス」と呼ばれている。また「現状維持バイヤス」と呼ばれているのは、「現状に問題がない」、「このままでいい、あえて変えることはない」と思い込むことで、そのために問題を先送りにして、無視して問題をさらに大きくしてしまう。また「同調バイヤス」というのは「みんなで渡れば怖くない」、「大勢の人が思っているのなら大丈夫だろう」と思ってしまう傾向で、このような「バイヤス・偏見・誤解・錯覚・妄信」は身の回りにはたくさんある。「学歴バイヤス、経験バイヤス、ブランドバイヤス、ジェンダー(性別)バイヤス、人種バイヤス、宗教バイヤス」などこれにいち早く気づいて、対応していける人は問題を避けて、適切な対応をしていけることになる。 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」、「イワシの頭も信心から」・・・。

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